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コラム

TOPICS & EVENT

シロアリ駆除の保証期間は?

2024/07/11

シロアリ駆除の保証期間は?

住宅を保有する方にとって、シロアリ駆除の長期保証は気になるポイントではないでしょうか。
シロアリ被害は、家屋の構造を損なうだけでなく、健康被害にもつながる深刻な問題です。

□シロアリ駆除保証期間の基準とは?


シロアリ駆除の保証期間は、法律で定められているわけではなく、主に使用される薬剤の有効期間に基づいて設定されています。
日本しろあり対策協会は、環境への影響を考慮し、認定する薬剤の有効期間を5年としています。


そのため、多くのシロアリ駆除会社が保証期間を5年に設定しているのが現状です。
過去には、強力な薬剤を使用し、10年保証が一般的だった時代もありました。


しかし、薬剤の安全性に対する意識が高まり、環境や人体への影響が懸念されるようになりました。
近年では、安全性の高い薬剤が開発され、その有効期間が5年に限定されるようになりました。


そのため、5年を超える保証は、薬剤の効果が保証できないことから、現実的ではないと考えられています。
また、シロアリ駆除の専門会社である日本しろあり対策協会の加盟会社は、ほとんどが協会が認定した薬剤を使用しています。


協会の基準に従い、5年の保証期間を設けることで、安全で効果的なシロアリ対策を提供しているのです。


□シロアリ駆除後の定期点検の重要性



シロアリ駆除後の保証期間内には、定期点検を実施することで、シロアリの発生リスクを最小限に抑え、保証の効果を最大限に活用できます。
定期点検では、シロアリの発生だけでなく、漏水や地盤沈下などの住宅の不具合も確認できます。


早めに対処することで、より大きな被害を防ぎ、安心して住み続けられる環境を維持できます。
点検の頻度は会社によって異なりますが、5年間に1回、3回、または毎年など、さまざまなプランがあります。


定期点検は、シロアリ駆除の保証を最大限に活かすための重要な手段です。
保証期間内に点検を実施することで、万が一シロアリが発生した場合でも、迅速な対応が可能となり、安心感が高まります。


□まとめ



シロアリ駆除の保証期間は、薬剤の有効期間に基づいて設定されており、環境への影響を考慮し、5年が一般的です。
保証期間内に定期点検を実施することで、シロアリの発生リスクを抑制し、安心して住み続けられる環境を維持できます。


定期点検は、保証を有効活用するための重要な手段です。
石牧建築では、劣化対策、維持管理対策等級共に3の最高レベル基準をクリアした住宅を建築しております。
また、住まいに不具合があった際には、自社スタッフがメンテナンスや相談に伺わせて頂きます。

日々の点検とメンテナンスで住まいを長持ちさせて、豊かな暮らしを愉しんでいただければ幸いです。

気密性の高い家のカビ対策

2024/07/01

気密性の高い家のカビ対策

高気密住宅は、優れた断熱性能と省エネ効果で、快適な暮らしを実現する一方で、カビの発生リスクも懸念されています。
この記事では、高気密住宅におけるカビ対策の重要性と、具体的な対策方法について解説していきます。
カビの発生を防ぎ、健康的な住空間を維持するための知識を深め、安心して快適な暮らしを実現しましょう。

□カビのリスクを知る!高気密住宅の知っておきたいポイント



高気密住宅は、優れた断熱性能を持つ一方で、カビの発生リスクを抱える側面も持ち合わせています。
これは、高気密住宅が、外気との遮断性を高めているため、湿気や温度変化の影響を受けやすく、カビが発生しやすい環境になりやすいからです。

*高気密住宅におけるカビ発生メカニズム



高気密住宅は、気密性を高めるために、窓や壁の隙間を最小限に抑えています。
その結果、外気の影響を受けにくくなり、室内の温度や湿度が安定しやすくなります。


しかし、室内の湿気が外に逃げる経路も少なくなり、湿気がこもりやすくなります。
特に、浴室やキッチンなど、水回りでは湿気が発生しやすく、換気が不十分な場合は、カビが発生するリスクが高まります。

*換気システムの重要性



高気密住宅では、適切な換気システムが不可欠です。
24時間換気システムは、室内の空気を常に循環させることで、湿気を排出する役割を果たします。
換気システムの種類や性能は、住宅の構造や気密性能によって異なります。


設計段階で、適切な換気システムを選定することが、カビ対策の第一歩です。


□気密性の高い家のカビ対策!24時間換気システムの有効活用



高気密住宅におけるカビ対策において、24時間換気システムは重要な役割を果たします。
適切な換気を行うことで、室内の湿度をコントロールし、カビの発生を抑えられます。
3つのポイントを見ていきましょう。

1:24時間換気システムの仕組みと効果



24時間換気システムは、常に新鮮な空気を室内に取り込み、汚れた空気や湿気を排出するシステムです。
換気システムには、第一種換気、第二種換気、第三種換気の3種類があります。


第一種換気は、機械によって強制的に空気を入れ替えるシステムで、最も効果の高い換気システムです。
高気密住宅では、第一種換気を採用することが推奨されています。

2:換気システムの適切な使い方


24時間換気システムは、常に稼働させることが重要です。
換気を止めてしまうと、室内の湿気がこもり、カビが発生しやすくなります。
また、換気システムのフィルターは、定期的に清掃する必要があります。
フィルターが詰まっていると、換気効率が低下し、カビの発生につながる可能性があります。

3:カビ対策のその他のポイント


24時間換気システムに加えて、日常生活での工夫もカビ対策に有効です。
浴室やキッチンなどの水回りは、こまめに掃除して、湿気を溜めないようにしましょう。
また、洗濯物は浴室乾燥機を使用するなど、室内で干さないようにすることも有効です。
さらに、室内の湿度を下げるために、除湿機を使用することも有効です。



□まとめ


高気密住宅は、快適な住空間を実現する一方で、カビの発生リスクも伴います。
カビ対策には、適切な換気システムの導入と、日常的な清掃が不可欠です。
24時間換気システムは、常に稼働させ、フィルターの清掃を定期的に行いましょう。
さらに、水回りの清掃や、洗濯物の干し方など、日常生活での工夫も重要です。


これらの対策をしっかりと行うことで、カビの発生を防ぎ、健康的な住空間を維持しましょう。
当社では、湿気や防腐を重視した長持ちしてメンテナンスしやすい家をご提供しております。
お気軽にお問い合わせください。

梅雨に負けない!湿気対策と換気のコツ

2024/06/22

梅雨に負けない!湿気対策と換気のコツ

梅雨の季節は、ジメジメとした湿気に悩まされる方も多いのではないでしょうか。
特に都市部に住む方は、コンクリートに囲まれた環境で、湿気の影響を受けやすく、快適な生活を送ることが難しいと感じる方もいるかもしれません。
そこで今回は、梅雨に負けない湿気対策と換気のコツをご紹介します。

□湿気が気になる梅雨時期の科学!



梅雨の湿気が気になるのは、単に不快なだけでなく、健康面や住環境にも悪影響を及ぼす可能性があるからです。
では、一体なぜ梅雨の湿気は気になるのでしょうか。

*湿度の科学!湿度とは?



湿度とは、空気中に含まれる水蒸気の量を表す指標です。
湿度が高いということは、空気中に多くの水蒸気が含まれていることを意味します。
梅雨の時期は、気温が上昇し、空気中に含まれる水蒸気量も増加するため、湿度が高くなりやすいのです。

*梅雨の湿気がもたらす問題



湿度が高い状態が続くと、カビが発生しやすくなります。
カビは、温度が5℃~35℃前後の場所で、湿度が高い環境を好みます。
梅雨の時期は、気温が高く湿度も高いため、カビにとって絶好の繁殖条件が揃っているといえます。


カビは、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患の原因となるだけでなく、中にはカビ毒を生成する種類も存在します。
カビ毒は、呼吸器系や肝臓などに悪影響を及ぼす可能性があり、健康面への影響が懸念されます。

*住環境への影響!ダニの繁殖



カビは、ダニのエサとなるため、カビの発生はダニの繁殖にも繋がります。
ダニは、アレルギーや皮膚炎を引き起こす原因となるため、健康面だけでなく、住環境の衛生面にも悪影響を与えます。


□雨の日も安心!効果的な換気戦略



梅雨の時期は、雨が降ることが多く、窓を開けて換気することが難しいと感じられるかもしれません。


しかし、雨の日でも効果的な換気方法を実践することで、カビやダニの発生を抑え、快適な住環境を実現できます。
3つの換気のコツを確認しましょう。

1:対角線換気



窓が2つ以上ある場合は、対角線上に位置する窓を同時に開けることで、効率的に換気できます。
空気の流れを作りやすく、室内の空気を効果的に外に排出できるのです。

2:サーキュレーター活用



窓が1つしかない場合や、風が弱い日は、サーキュレーターを活用することで、室内の空気を循環させられます。
サーキュレーターを窓に向けて稼働させることで、室内の空気を強制的に外に排出できます。

3:換気扇の活用



キッチンや浴室などには、換気扇が設置されていることが多いです。
換気扇は、室内の湿気を効果的に排出できます。
特に、梅雨の時期は、こまめに換気扇を稼働させるように心がけましょう。


□まとめ



梅雨の湿気は、健康面や住環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な対策が必要です。
湿度を下げるためには、換気をしっかりと行うようにしましょう。
雨の日でも、対角線換気やサーキュレーター、換気扇などを活用することで、効果的に換気できます。
快適な住環境を実現するため、梅雨の時期は、湿気対策をしっかりと行いましょう。


当社では、住宅を湿気から守る通期工法を取り入れています。
お困りの方はお気軽にご相談ください。

シロアリの見た目と確実な駆除方法

2024/06/12

シロアリの見た目と確実な駆除方法

自宅の安全と資産を守るために、シロアリに関する正しい知識を身につけることは非常に重要です。
シロアリは、家屋の構造材を食い荒らす害虫として知られており、放置すると深刻な被害をもたらす可能性があります。
この記事で、シロアリの生態や見た目、被害の特徴について学び、早期発見と適切な対策方法で、大切な住居を守りましょう。

□シロアリの見た目と生態!知っておくべき基本情報



シロアリは、その名前からアリの仲間と思われがちですが、実はゴキブリに近い原始的な昆虫です。
世界には2,900種類以上のシロアリが生息しており、日本では23種類が確認されています。


その中でも、家屋に被害を与えるシロアリは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの3種類が主なものです。
これらのシロアリは、木材を栄養源としており、家屋の構造材を食い荒らすことで、強度を低下させ、最悪の場合、倒壊につながる危険性も孕んでいます。

1:ヤマトシロアリの特徴



ヤマトシロアリは、北海道北部を除く日本全国に生息し、最も一般的なシロアリです。
乾燥や日光に弱いため、地上に姿を見せることは稀ですが、4月下旬から5月頃にかけて、羽アリが新たな巣作りに向けて地上に現れます。
ヤマトシロアリは、女王アリを頂点とした階級社会を形成しており、それぞれ役割と見た目を持っています。

2:イイエシロアリの特徴



イエシロアリは、主に暖かく湿潤な地域に生息し、ヤマトシロアリに比べて、湿気に強いのが特徴です。
イエシロアリは、土中や木材の中に巣を作り、地上に姿を見せることは稀です。


しかし、羽アリは5月から6月にかけて、新しい巣を作るために地上に現れます。

3:アメリカカンザイシロアリの特徴



アメリカカンザイシロアリは、近年、日本各地でその生息域を拡大しており、被害が急増しています。
乾燥に強く、屋外の木材やコンクリートの隙間にも巣を作れるため、他のシロアリに比べて、発見が遅れる傾向があります。


アメリカカンザイシロアリは、羽アリが1年中発生することが特徴です。


□発見!シロアリの正しい対処法



シロアリを発見した場合、適切な対処法を理解することが重要です。
シロアリは、繁殖力が強く、被害が拡大しやすいことから、早期発見と適切な対策が求められます。
早期発見できれば、被害を最小限に抑えられます。


では、シロアリを発見したら、どうすればいいのでしょうか。
シロアリを発見したら、まずは冷静に状況を把握しましょう。
シロアリの種類や被害の程度を正確に判断することが重要です。
シロアリの種類によって、適切な駆除方法が異なるため、専門家の意見を聞くことをおすすめします。


シロアリの被害が軽微な場合は、自分で対処することも可能です。
例えば、シロアリが木材に穴を開けて侵入している場合は、その部分を補修したり、殺虫剤を使用したりすることで、被害の拡大を防げます。


ただし、シロアリの巣が大きい場合や、被害が深刻な場合は、専門会社に依頼することが必要です。
専門会社に依頼する際は、信頼できる会社を選ぶことが重要です。


シロアリ駆除の専門知識や経験が豊富で、実績のある会社を選びましょう。
また、駆除方法や費用についても、事前にしっかりと確認しておきましょうね。


□まとめ



シロアリは、家屋にとって非常に危険な害虫です。
シロアリを発見した場合、まずは冷静に状況を把握し、適切な対処法を選びましょう。
被害が深刻な場合は、専門会社に依頼することをおすすめします。
当社では、シロアリ保証や定期点検など充実した保証で、お家の安心を守ります。
お気軽にお問い合わせください。

ホウ酸について 

2024/06/06

ホウ酸について 

シロアリ被害に遭った経験があり、環境への影響を考慮しながら安全な駆除方法を探している方へ。
シロアリ駆除にホウ酸が有効だと耳にしたものの、環境への影響や効果が出るまでの時間、施工後のメンテナンスの難しさなど、気になる点も多いのではないでしょうか。
今回は、ホウ酸についてと、シロアリ対策におけるホウ酸のデメリットを紹介します。

□シロアリ駆除に効果的なホウ酸について


ホウ酸は、環境への影響が少なく、哺乳類には安全な天然由来の物質です。
近年、シロアリ駆除においても注目を集めています。

1: シロアリに効果を発揮するホウ酸のメカニズム


ホウ酸は、シロアリにとって毒となる物質です。
シロアリがホウ酸を摂取すると、体内でエネルギー代謝を阻害し、最終的に餓死へと至ります。
ホウ酸は、人間を含む哺乳類には基本的に安全で、少量の摂取であれば腎臓によって速やかに排出されます。

2: 海外におけるホウ酸を用いたシロアリ対策の現状


アメリカやオーストラリアなど、シロアリ被害が多い国では、ホウ酸を使ったシロアリ対策が一般的です。
特に、ハワイ州では、新築の木材すべてに薬剤処理を行うことが義務づけられており、その多くでホウ酸が使われています。






□シロアリ対策におけるホウ酸のデメリット



ホウ酸は環境への負荷が低い一方で、いくつかのデメリットも存在します。

1: 水分が多い場所では使用できない


ホウ酸は水に溶けやすい性質を持つため、水分が多い場所での使用は避けなければなりません。
シロアリの主な侵入経路である床下は湿気が溜まりやすい場所ですが、ホウ酸は土壌など水分が多い場所では使用することができません。

2: 効果が出るまでに時間がかかる


ホウ酸の効果は、シロアリがホウ酸を摂取してから徐々に現れます。
シロアリがホウ酸を巣に持ち帰り、仲間と共有することで巣全体に効果が及ぶため、効果が出るまでに数か月かかる場合があります。

3: 施工後のメンテナンスが難しくなる可能性


ホウ酸は、粉末や粒状の形態で施工されることが多く、施工後もその状態が残ります。
そのため、床下や小屋裏などの構造物の定期的な点検やメンテナンスが困難になる可能性があります。

4: シロアリ対策協会の認定薬剤ではない


ホウ酸は、公益社団法人日本しろあり対策協会の認定薬剤には選定されていません。
そのため、一部の業者ではホウ酸を使ったシロアリ駆除を扱っていない場合があります。





□まとめ



ホウ酸は、環境への影響が少なく、哺乳類には安全な天然由来の物質であるという魅力を持つ一方で、水分が多い場所では使用できない、効果が出るまでに時間がかかる、施工後のメンテナンスが難しいなどのデメリットも存在します。
シロアリ駆除にホウ酸を使用する際は、これらのメリットとデメリットを理解した上で、最適な対策方法を選択することが重要です。


当社が力を入れているのは、丈夫で永持ちする家づくり、そして、夏は涼しく、冬は暖かく、外の環境に左右されない暮らしです。
そんな理想の住まいをお届けしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

石牧建築 標準仕様カタログ1 公開中

2023/07/07

石牧建築 標準仕様カタログ1 公開中

最もリーズナブルで簡潔な住まいを作るために石牧建築が良いと思うアレコレ。 地域の環境と職人とお財布に優しい仕様をお勧めしています。

最もリーズナブルで簡潔な住まいを作るために石牧建築が良いと思うアレコレ。 
地域の環境と職人とお財布に優しい仕様をお勧めしています。

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石牧建築仕様カタログ1
高画質でご覧になりたい方は、以下のリンクよりPDFをご覧ください。

https://www.dropbox.com/scl/fi/c6sbxj2jtmlbgks14yma4/230423-CATALOG.pdf?rlkey=kuhud99iexrbe357t9io2r8sp&dl=0

SNSの発達により、情報がありふれた昨今では
皆様が家づくりを行うにあたり多すぎる情報が目に入るようになりました。
もちろん、皆様の思う住まいを建てるために様々な情報を集めて
理想の住まいを探求することは面白く、一生のうちの最大の買い物を行うにあたり準備は多いに越したことがありません。

ただし、石牧建築のように
手刻み大工と地域の職人さんの手で建てる家づくりには様々なステークホルダーも存在します。
輸送距離や、使用されている材料。もちろんコストも関係しています。さらには、生産過程における思いや歴史なども。

石牧建築では
石牧真志を筆頭に数名の大工と、佐原広祐&西久保美和を中心とした設計部が、皆様の住まいづくりに尽力致します。
これまで家づくりを行ってきた経験と機転で皆様の思い描くライフスタイルを支え
素敵な住まいが出来上がるように手仕事を致します。

家づくりに悩む前に
まずはこれらの仕様をご覧ください。

カタログに記載されている情報の詳細については今後開催する完成見学会やヒアリングの機会に
お気軽にお尋ねください。
皆様とお話しできる機会を楽しみにしております。







P.S.
石牧建築スタッフの略歴についても今後どこかで紹介していきます。
皆様の家づくりを行う人間が何者なのか?
気になる話があれば是非、InstagramやTick tok等へDMをお送りください!

Instagram

石牧建築/ISHIMAKI KENCHIKU <運営者:浅野太智 他>  
@ishimaki_kenchiku 

石牧建築 大工チーム <運営者:合田武司 君澤ひかり 伊藤琢海 他>
@ishimaki_daiku

しましま設計室(西久保美和)  <運営者:西久保美和 他>
@4ma4ma_arc


Tik tok
石牧建築 大工チーム 
@ishimaki_daiku

桜軸の家

2022/11/02

桜軸の家

「石牧さんの家を建ててほしい」。そうリクエストいただいて現地にお伺いしたとき豊かな自然を最大限に生かし、庭の桜の木をシンボルにしようと思いました。本当にお任せという真っ新な状態で家づくりをさせていただくことは、あまり機会がないこと。思い切り石牧建築らしい、私たちがご提案したい家を設計させていただいた、とても印象深い家です。
設計図をご覧いただいた際、「この家のネーミングは?」とキラキラしたした期待の目を向けられ、お時間をいただいて付けた名前が「桜軸のいえ」でした。桜の方向に軸を取り、その軸に対して直角に床板を張ることで目線が桜に向くように。桜を中心に空間が広がり、家族の幸せが広がるようにと願って。

石牧建築の家を気に入り、お任せで家を建てた鈴木様に家づくりのエピソードや暮らしの楽しさをうかがいました。


石牧建築 しましま設計室 一級建築士 西久保 美和

家を建てようと思ったきっかけは何でしたか?

ご主人
妻に「おいしいコーヒー屋さんがイベントに出店するから行かない?」と誘われて行ったのが、石牧建築さんの現場見学会だったんです(笑)。僕はその時、家を新築する気は全然なくて、ホントに家族でお出掛け気分でした。でも現地に行ってみたら、木をふんだんに使っていて、梁が見えたり漆塗りだったり、2つとない家だというのが随所に感じられました。良いな、こういう家に住みたいな、という気持ちが湧いてきました。そこからちょっと話を聞こうかという話になり、ローンのこともいろいろアドバイスやご提案をいただいて、家づくりが急に現実味を帯びてきたんです。そして、年齢的にも今しかない!と(笑)。
奥さま
私は、結婚したら自分たちの家がほしいとずっと思っていたので、その気になったらいいなーという下心があって誘ったんですけど、期待以上にその気になってしまって。ほとんど衝動買い(笑)。初めての見学会は『漆梁の家』ですごく良かったんですけど、次に見に行った『星乃家』もすてきでした。
ご主人
石牧建築さんの家を見て、ホームページを拝見させていただいて、マイホームの概念が変わりました。それまでは、目に入ってくる情報として、いろんなところが注文住宅とかうたっているけど、どうせABCの中から選択するくらいでしょ、似たかよったかじゃないの?と思っていました。それに、一番のPRポイントが地震に強いって、そんなの当たり前じゃないの?って。だから全く響かなかったんですよね。
奥さま
そうそう。地震に強いって、それって常識じゃないの?と。当たり前についてくるものだと思っていたから、私たちにとってはPRポイントにはなっていなかったよね。
ご主人
確かに。でもそういう素人の考えをしっかり受け止めてくれてるなと思ったのも、石牧建築さん。石牧建築さんで家を建てたいと思ってから、会社の考えとかを知りたいと思って、ウェブサイトとブログを隅々まで読み込みました。その中で一番心に響いたのは、社長さんのブログ。耐震性とか気密性とか、石牧建築さんの一番のPRポイントは機能性ではないのに、そこをしっかり説明していた。素人では分からないことも分かりやすく説明していたし、知識の深さもうかがい知れるものだったので、とても信用できたんです。デザイン性がすばらしくて、機能性もしっかりあって、おまけに大工仕事ってところも、僕としては非常に好感が持てました。

どのように家づくりが進んだのですか?

西久保
設計を始める前に、『おうちノート』というヒアリングシートのようなものがあって、住みたい家のイメージや、どんな暮らしがしたいか、どんなお部屋や間取りが欲しいかなど記入していただくんですが、鈴木様はびっくりするほど少なかったんです。大抵のお客さまはびっしりノートいっぱいに書かれるんですけど、鈴木様は外観や全体のイメージのご希望は書かれていなくて、猫の部屋、食洗機、ウッドデッキとか超ピンポイント。本当に最低限欲しいものだけを書かれているなという印象で、いつもと違うぞと、逆に戸惑ったことを覚えています。
奥さま
石牧建築さんの家を見に行ったら感じが良かったから、こういう家がいいなーとしか思わなかったですし、こういう家を建ててくれると信じていました(笑)。
ご主人
自分たちは、当たり前だけど家に関して素人。石牧建築さんの家を見て「これが良い」と思ったので、「石牧さんの家を建ててください」と。それが一番の希望でした。どんな提案をしてくれるのか、とてもワクワクしました。
西久保
ある意味プレッシャーでしたが、そういうオファーをいただけたことが本当にうれしかったですし、腕が鳴りました。実は内心「やった!」とガッツポーズしてました(笑)。石牧建築の良さを存分に詰め込んで、さらに私が好きなテイストをスパイスにした家を建てられるなんて、こんなチャンス2度とないかもしれないと。私もワクワクして楽しかったです。
奥さま
設計図を見ても、「良い!すてき!」としか感想がなかったです。唯一の変更は、キッチンの向きを窓側ではなくリビング側に、庭に向くように変えてもらったことでした。
西久保
石牧建築の家を本当に気に入ってくださったんだなと、うれしさが募りました。でも納戸としてご提案したつもりだった部屋が、お二人の中では最初から「猫の部屋」として認識されて話が進んでいったのは、楽しい誤算でした。私的には、猫も快適に住める家というイメージで、単独で猫の部屋を作ることは想定していなかったんですけど、うれしそうなお二人を見て「それは納戸です」とは言えず、今初めて言いました(笑)。

この家のポイントは、なんと言っても桜を中心としたところでしたね。

西久保
初めてこちらに伺ったとき、桜の木がとても印象的で、これをシンボルにした家という方向でイメージが膨らみました。家全体の造りや雰囲気はシンプルに仕上げ、ひとさじアクセントとして桜に向かって床板を斜めに張りました。桜の木へ目線が向くようになり、また部屋自体の視覚的拡がりも生まれます。私がこの家の設計でこだわったことのひとつです。大工さんにも「ここの出来栄えで、この家のすべてが決まる」と伝えました。
奥さま
どおりで!大工さんが時間をかけていたわけが今分かりました。実は毎日のように家づくりの現場を見に来ていたんですけど、床板をはめるとなったとき、最初に取りかかった角の数枚に、大工さんがすごく丁寧に時間をかけていたんですよ。「大変そうだなー」「あ、床板斜めなんだー」と思って見ていたんですけど、西久保さんからのプレッシャーがあったんですね(笑)。
西久保
手間がかかるのは分かっていましたが、本当にこの家の肝になる部分だったので、家づくりの想いをしっかり共有したいと思ったんです。
ご主人
斜めの床板とか、そういうアクセントの付け方の概念は素人にはないもので、まさにプロの仕事、こだわりを見せてくれた!という感じで感動しました。それに住み始めてみて、本当に桜の方へ意識が向くことに再び感動。僕たちにとっては当たり前だった景色が、桜を中心にした家を建ててくださったことで、特別な景色になったと思います。
奥さま
親族の家族もみんな集まって、お弁当作って、ウッドデッキでお花見もしたしね。それだけでも石牧建築さんに家を建ててもらって良かったって思えます。

実際に暮らしてみて、住み心地はいかがですか?

ご主人
本当に住みやすいと日々感じています。おしゃれだけど、いや、おしゃれだからこそ、すべて計算し尽くされていて、無駄がない。こういうのを機能美って言うんでしょうね。豪邸という言葉の概念も変わりました。今までは豪邸は贅沢な広さの豪華な家だと思っていましたけど、石牧建築さんの家に住んでみて、住みやすくて生活が楽しい家こそが豪邸と呼ぶにふさわしいと。普段の生活の中にある心の贅沢を感じられるかどうかって、大事だと思うんです。あとは、妻が毎日すごく楽しそうに暮らしていること(笑)。そこが僕の何より一番の満足ポイントです。
奥さま
周りの環境を最大限に生かしていて、自然に溶け込んでるところも私は好きです。
西久保
この環境、なかなかないなと思って生かしたいと思いました。最初に来たときは、正直「すごい所に来ちゃったな」と思いましたし、出会う虫たちがことごとく見たことのない大きなサイズだったのも、驚きましたけど。
奥さま
それ、私も思いました。私の生家は海の近くで結構な田舎だったのですけど、真逆の山奥の田舎に来たなと。驚くこともありましたけど、すっごく静かでこっちの環境の方が好です。ただ、初夏のカエルの大合唱だけは驚きを超えて衝撃的でしたね。でもあるとき、学者さんがわざわざカエルの声を録りにくるくらい貴重な場所だということを知って、ここにしかない特別な音楽なんだと思うようになりました(笑)。
西久保
こんなに自然に囲まれていて、景色も風も心地良いし、沢も近くにあって空気も何だか清らかだし、本当に良いところですよね。石牧建築の木の家にぴったりの場所だと思いました。

石牧建築は天竜杉など地元産の木を使っているのですよね。

西久保
そこが私たちの強みです。
ご主人
僕が家を建てたいと思ったきっかけを作ってくれたのは、石牧建築さんのこだわりが見える木の家との出会い。木をふんだんに使ってもらいたくて、作り付けの家具も家と同じ木を使って作ってもらえるよう、オーダーしました。
西久保
床をはじめとした家の素材や、テーブルなどの家具類は天竜杉。キッチンのカウンターは天竜産の山桜です。家具は「わざわ座」という家具デザイナー・小泉誠さんと大工さんのコラボ作品です。
ご主人
大工仕事とデザイナーというおしゃれ感と、すぐ隣の天竜で育った地元の木を使っているというこだわりも、非常に惹かれました。それから、西久保さんが設計士にもかかわらず、現場によく足を運んでくれることとか、墨付けを自らしてくれたことなどは特に感動しました。僕たちの家をつくるために、今までやったことがない大工仕事にチャレンジしてくれた。そのことがすごくうれしかったです。
西久保
そう感じていただけていたなら、私もとてもうれしいです。墨付けは本来、熟練した大工の技が必要な作業。大工のプライドのかかった仕事と言っても過言でありません。そんな大役を任せていただくことになり、鈴木様からの信頼の厚さに感動しつつも、これまでにないプレッシャーも感じました。しかし、お任せいただいたからにはやり切ろうと思いました。さすがに手刻みはできませんけど、石牧建築の仲間から身をもって大工仕事を学んでこいと背中を押され、大工さんに弟子入り状態で教えてもらうことになりました。春野の加工所に通って墨付けをした日々は、とても大変でしたが充実していて、とても良い経験ができました。そんな機会をくださったお二人に感謝しています。

この家のお気に入りポイントはどこですか?

ご主人
すべてです(笑)。さっきも言いましたけど、生活していて無駄な場所がないこと、そして奥さんが笑顔でいてくれること。全部が気に入っています。
奥さま
私はキッチン。特に壁面の一部に使ってあるグレーがかかった微妙な色合いのベージュのタイルがすごくいいなって。あとは、リビングに立って桜の木方向を向いて見上げたときの、障子と梁の感じがとても好きです。木のぬくもりが感じられるむき出しの梁はもちろんですが、上の窓に障子というチョイスがおしゃれだなって。
ご主人
そういうピンポイントなら、あります。漆塗りのトイレの床。床でも家具でもどこでもいいから、どこかに漆を塗ってかっこよくしてほしいとリクエストしたんです。それで、その場所は家ができるまでのサプライズにしてくださいとも。
西久保
トイレの床や、洗面カウンター、キッチンの側板など。あと、テーブルの裏の梁(たわみの止め)にも施しました。
ご主人
家ができたとき、宝探しみたいですごく楽しかったです。
奥さま
玄関も私は好き。木の外観なのに玄関だけコンクリートでモダン。ちょっと隠れ家みたいな雰囲気がかわいい。
西久保
ちょっと離れのような立ち位置にあるので、大きな玄関ではなく母屋の勝手口というイメージで、小さめに、そしてアクセントとしてモルタルの玄関にしました。私もここ、お気に入りの一つです。
ご主人
外観と言えば、このボコボコした押縁のデザインもおしゃれ。こういうの見たことがなくて、他にないなと。自慢の一つです。あと、表札の字は、西久保さんが書いてプレゼントしてくれたんですよね。最後の仕上げ、みたいな感じでうれしかったです。ありがとうございました。

最後にこれから家を建てたいと思っている皆さんにアドバイスを。

ご主人
一生物なのでこだわった家にした方が良いと思います。僕らも妥協して後悔したくないと思いました。石牧建築さんというすばらしい出会いがあって、お任せ状態で建てた家ですが、妥協したところはありません。この出会いが妥協するところがないという状況を生んでくれたと思うので、すごく恵まれているんじゃないかと思いますが、家を建てる会社を選ぶところで妥協しないことが一番かなと思います。
奥さま
良いなと思った家をつくっている会社と、建てる人との出会いは特に大切だなと思います。西久保さんに家づくりをお任せして、本当に感謝しています。暮らしていて、本当に困ることとか、こうすれば良かったと思うところがないんです。だから家を建てるときも、人との出会いは大切にしてほしいかなと思います。

価値観を変える木の家

2022/11/02

価値観を変える木の家

石牧建築と出会い 木の魅力に惹かれていく

まだ所々に田畑が残る住宅街の一角。見事な大屋根の木の家が、今回訪問するK邸です。大規模既存集落制度を利用して、昨年の7月に新居が完成。独特の削り跡が印象的な日本古来の伝統技術、なぐり加工を施した玄関扉を開け中に入ると、勾配天井に吹き抜けが広がる開放的なLDKが出迎えてくれます。木がふんだんに使われた空間は、まるで森の中にいるような居心地のよさを感じます。

まず目をひくのが、8寸(24cm)もある黒色の大黒柱と、赤色に塗られた8角形の柱。生漆(きうるし)に黒と赤の顔料を混ぜ、塗りと拭き取りを何度も繰り返して仕上げたそう。さも、木の家にこだわったように見えるK邸ですが、「無垢材って言葉を知ったのも、工務店探しをしているときなんですよ」と笑いながら答えるKさん。

実家と同じように大手ハウスメーカーで家づくりを始めるもうまくいかず、幾つもの工務店を研究。「雑誌などで徹底的に調べたから、家を見ただけでどの工務店か分かるようになったんですよ」と、いたずらっぽくツッコミを入れる奥さま。先日紹介した「遠州匠の家」のKさんが会社の後輩ということもあり、石牧建築にたどり着きました。

「石牧建築代表の石牧真志さんと最初にお会いしたとき、家のことはほとんど話さなくて、山のこと、天竜杉のこと、手刻みにこだわっていることなど、木についての話が2時間ほど続いて(笑)。印象的だったのが、一般的な工務店は、白くてきれいな優等生の木だけを使うけれど、石牧建築は劣等生の木も使うという話でした」

「石牧建築では、他社では使いにくいといわれる山の下に生えている黒い木も扱います。手刻みにこだわり、木目の見え方、節の量、木のクセなどを一本一本確認しているからこそ、商業的な面で見ると劣等生といわれる木があっても、適材適所で使い分けるとことができるんです」と、K邸を担当した佐原広祐さんが説明してくれました。


それから木のことをいろいろと調べ始めたKさん。調湿、消臭、抗菌、防ダニ、肌触り、経年変化など、新建材にはない木の魅力にどんどんひかれていきます。「この2つの木を持ってみてください」と、取り出した木片を取材班に手渡します。「あ、重さが全然ちがいますね。この黒い方がずしんと重さがあるというか」と取材班。「この黒い木は桜で、軽いのが杉。樹種によってこれだけちがいがあるんですよ。香りもちがうので、かいでみてください」と楽しそうに説明してくれます。

「LDKの床を見て何か気付きませんか」と、次はクイズが始まりました。何度か往復して、「あ、節の数がちがう!」。何も言わず笑顔になるKさん。床はヒノキの無垢材を使用。キッチン側は節が多いけれど、お客さんも過ごすリビング側の床はほぼ無節。「仕上がりを考え、一枚一枚、節の量を確認して貼ってくれているんです。そういうのって、うれしくないですか」とKさん。

「なんだか、石牧建築さんの営業マンみたいでしょ」と笑う奥さま。「植林の下草刈りにも参加したいって言うくらい、この家を建ててから木が好きになったんですよ」。玄関横の壁には、無理を言ってもらったという石牧建築のポロシャツが飾られていました。


ものを選ぶ基準が 毎日の暮らしを彩る

ここ数年は家を建てることが目標だったKさん。新居が完成し、今はこれといった趣味がないそうで、休日はホームセンターに行ったり、子どもと一緒に遊んだりすることが多いと言います。長男のタクトくんが生まれ、奥さまが育児で大変ということもあり、娘さんとふたりで遊ぶ機会が増えました。ウッドデッキがあるので、ピクニック感覚でお弁当やおやつを食べたり、庭で泥遊びをしたり。どれも以前のアパート暮らしではできなかったことばかりです。

庭の一角には、最近始めたという家庭菜園が作られ、ナスやトマト、ハーブ、ミカンなどが植えられています。すると長女のリオちゃんがやってきて、「こっち、こっち」と、玄関へ案内してくれます。玄関横にはブルーベリーが植えられ、小さな実を見つけることができます。「子どもも水やりを楽しんでいるので、大きく育つのが楽しみですね」。趣味はないと言うKさんですが、家ができ、お子さんと一緒に暮らしを楽しむその時間が、何よりの趣味なのかもしれないなと感じました。

石牧建築に造作してもらった食器棚や本棚、遠州面紬をあしらった建具、地元作家による洗面鉢など、家の中にはストーリーのあるものを見つけることができます。「木の空間が映えるように、既製品はあまり買わなくなりましたね。価値観が変わったというと大げさですが、ものを選ぶことに意識的になった気がします。先日も作家さんが作ったコーヒーカップを買ったのですが、以前だったらきっと買ってなかったと思いますよ(笑)」

木の家だとキズが心配じゃないですか、とたずねると、「最初は気にしていましたが、一度キズを付けると、もう気にならなくなって」と笑うおふたり。キズは味わいになるし、年月がたって色が変わっていくのも、木ならではの魅力だと思えるようになったと言います。「石牧さんは、手垢や脂、子どもが裸足で走り回って木が黒くなっていくのがいいんだよねと言うんですが、さすがにそれは理解できなくて(笑)。まだ修行が足りないんですかね」と笑うKさん。



「木の家ってもっと和風なイメージがあったから、ここまで快適で、おしゃれな家になるとは思ってもみなかったです。ママ友からもすてきだねとほめられてうれしいです」と家づくりを振り返る奥さま。「僕たち素人は、家を建てるとなったらとりあえずハウスメーカーの展示場へ行く。木の家に関する知識も、出会いの場も少ないんです。工務店やメディアは、木の家の魅力をもっと伝えた方がいいですよ」とKさんが続きます。つられて「すみません」と謝る佐原さんのひと言に、みんなが笑いに包まれます。手に入れたのは木の家だけでなく、ずっと良好な関係を築ける工務店だったのだと感じた瞬間でした。

(撮影・文/キーウエストクリエイティブ)

 

 

家族の思い出を刻む家

2022/11/02

家族の思い出を刻む家

3年が過ぎ、ひとまわり成長した家族と家

浜北区にある新興住宅地。さまざまなカタチの家が建ち並ぶ中、木の塀と大きく育った木々に包まれた家が見えてきました。


エントランスを抜け、玄関を開けると、「こんにちは」と、子どもたちが元気よく出迎えてくれます。天竜の杉やヒノキをふんだんに使った床や天井、丁寧に仕上げられた漆喰の白い壁が、やさしく落ち着いた空間を作り出していて、温和なKさん夫妻にぴったりだなと感じました。

東京都出身のご主人と、新潟県出身の奥さま。お互いの故郷から遠く離れたこの浜松に家を建てたのは3年前のこと。新築当時はほっそりとした木々も太さを増し、大きく枝葉を伸ばしています。
昨年の冬には3人目のお子さんが誕生。新築の打ち合わせの頃、トーマスが好きだったユウスケくんは、今では「スター・ウォーズ」に夢中。泣き虫だったサキちゃんは、赤ちゃんのお世話をかってでるお姉ちゃんに成長。子どもの成長が3年という歳月の長さを教えてくれます。


「3年暮らしてみて、失敗したなぁと思うことはありませんね。今、石牧建築さんに収納棚をオーダーしています。家族が増えたということもありますが、まずは住んでみて、必要だなというタイミングで作りたかったんです」とKさん。
リビング階段を中心に回遊できる間取りのK邸。小学校や幼稚園から帰ってきた子どもたちは、玄関から洗面所へ向かい、手を洗ったあと、そのままLDKへ。
「だから、洗面所のそばにランドセルや荷物などを置ける棚があると便利だなと思い、オーダーすることを決めました」。

LDKには石牧建築が造作した、遠州織物をあしらったテレビボードやカウンターテーブルがあります。
「とっても便利なんですけど、あとから収納ボックスを使おうと思ったら、空いている壁がなくて、置くことができなかったんです(笑)。最初から作り込みすぎないのも大事ですね」と笑う奥さま。


天竜杉を使った床は暖かで足触りもよく、子どもたちは一年中はだしで遊んでいるそう。冬でもひんやりしないから、奥さまもスリッパをはかなくなりました。特に木の家が心地よいと感じるのは、梅雨時だと言います。
「以前、住んでいたアパートは湿気がひどくて。この家は床も天井も木だし、柱が見える真壁造り。仕上げに使った漆喰のおかげもあって、じめじめせず、いつもさらさらしています」とKさん。
同席していた石牧建築代表の石牧真志さんが、「断熱材に使ったセルロースファイバーも調湿効果があるので、それも影響していると思いますよ」と補足してくれました。

勾配天井でこもり感のある寝室は快適で、寝苦しさを感じたことはないと話します。
「子どもを寝かしつけると一緒に寝ちゃうことも少なくないですよ」。
新規開発プロジェクトのリーダーを任せられ、やりがいとプレッシャーの間で忙しい毎日を送るKさん。土日も仕事をすることが増え、生まれたばかりのサユちゃんの笑顔、子どもたちと遊ぶ時間がなによりの癒やしの時間です。



手をかける暮らしが愛おしい時間を育てる

「この家に住み始めて暮らしが変わったとか、趣味が増えたとか、そういうことはありませんね」と、こちらの期待を裏切るおふたり。「でも、ダイニングテーブルは年に1回、必ずメンテナンスしていますよ」。

林業を営まれている奥さまのご実家。床の間で使われていたケヤキの板を譲り受け、石牧建築が6人掛けのダイニングテーブルに仕上げました。メンテナンスをするのは年末か春先。表面の汚れをサンドペーパーを使って丁寧に削り、自然塗料のオイルを塗り込みます。オイルは1度乾燥させたあと、もう1度塗り込む。子どもには手伝わせない、Kさんの仕事です。
「塗りむらや家を汚されるのがイヤというのもありますが、もくもくと集中して作業するのが楽しいんですよね。じゃまされたくないというか(笑)」。 


ふと目をやると、和室の漆喰の壁に落書きがあるのに気が付きました。
「最初に緑のペンで落書きして、これはマズイと思ったらしく、消そうとしてオレンジのペンで上からぐしゃぐしゃと(苦笑)」。
住み始めて半年くらいのことだったから、ふたりのショックは相当なものだったはず。でも、この事件をきっかけに家のキズには寛容になり、今はいい思い出だと笑います。漆喰はいつでも塗り直すことができますが、これがクロスだったら……。部分的な修復は不格好なので全面張り替え、そもそもクロスが廃番になっていて直すことができないというケースもあるそうです。

開け放った窓から心地よい風が室内を駆け抜けます。大きくなった木が縁側に影を落とし、葉が風に揺られさらさらと音を立てています。
「木の剪定も彼がするんですよ」と奥さま。「高い場所の枝はしなってノコギリと一緒に動いちゃうから切るのが大変なんですよ。愛着のない家だったら気が進まない仕事ですが、今は一つひとつの家仕事がとても楽しいですね」と笑うKさん。
この夏には庭の一部を花壇や家庭菜園にする予定だと教えてくれました。


浜松で生活をしてもう10年になるKさん。この家に住み始めて、やっと自分の場所だと思えるようになったと言います。木が少しずつ根を張っていくように、自分の家で暮らす日々が、浜松を自分の場所に変えていったのかもしれません。

休日は、赤ちゃんがいるのであまり遠出はせず、近くのパン屋さんで焼きたてのパンを買って、公園やピクニックに出かけることが増えたそう。
家にいても子どもたちは部屋中をぐるぐる走り回ったり、なわとびの練習をしたり、キャッチボールをしたりと自由奔放。リビングはすっかり子どもたちの遊び場になりましたが、いつかは大人の安らぎの場所にしたいとふたりは思っています。

「ちょっといいソファを買って、ギャッベを敷いて。そばには照明スタンドがあって。ふたりでのんびりお酒を飲んだり、ゆっくり映画を観たりしたいですね。でも、いつのことになるやら(笑)」。
言葉ではそんなことを言いながら、子どもたちが遊んでいる様子を愛おしく見つめるふたりがいました。
床にはミニカーを落としたあとがあり、ダイニングの杉の柱には、誕生日毎に測った子どもたちの身長が記されています。
「4歳のときのユウスケよりも、今のサキの方が背が高いね」と笑うふたり。家のあちこちに家族のかけがえのない物語が刻まれているK邸。


 

「家は、暮らしとともにある」。そんな言葉がよく似合うご家族でした。

(撮影・文/キーウエストクリエイティブ)

 

大きな木が見守る家

2022/11/02

大きな木が見守る家

天竜二俣駅から車で5分ほど。二俣川にほど近い山の麓に前田さんの家はあります。杉林を背景にブラウンの落ち着いた外観が映えます。にょきっとのびた薪ストーブの煙突、家のコーナーを横貼りにした杉板であしらった多角形コーナーが印象的。


前田さんがこの場所に家を建てたのは昨年の5月。「ローンを申請したら、うっかり通ってしまって」と笑います。
きこりの仕事だけでなく、天竜の森の魅力を伝えるイベントを企画したり、学校などで出張講座をしたり、多岐にわたり活躍。観音山の東麓にある活動拠点「Kicoroの森」にはリノベーション中の古民家もありますが、子どもの通学のことを考えると不便ということもあって泣く泣くあきらめることに。


「天竜の森の魅力を伝える仕事をしているから、さすがに外材を使う訳にはいかないし(笑)天竜材を使うことにこだわったほか、間取りなどは妻にお任せしました。もっと時間があれば自分が伐採した木を使って家を建てたかったんですが、残念ですね。もしかしたら、昔に切った木が混ざっているかもと期待はしていますが」そんな前田さんが家づくりのパートナーに選んだのは、春野町に自社工房を持ち、大工職人でもある「石牧建築」の石牧真志さん。設計は石牧さんと親交の深い「しましま設計室」の西久保美和さんが担当しました。

奥様の要望は和室があることと、小さくてもいいので家族それぞれのスペースが欲しいというもの。何度かの打合せを重ねて西久保さんが提案したのは、リビングダイニングスペースに畳を敷いた「茶の間」のある家でした。前の家から使っている大きな座卓を家族5人が囲みます。ご飯を食べてお腹いっぱいになったら、そのままごろんと横になったり、座卓をどかせば遊びに来た友人が泊まる客室になったり、いろんな使い方ができるのが魅力。い草の香りにも癒されます。


畳みの向こうには板の間があり、この家を特徴付ける多角形のコーナー縁側へと続きます。2つの空間をゆるやかに区切るように八角形のヒノキの大黒柱がそびえます。そこから放射状に柱が伸びる姿は、まるで枝を広げた大きな木のよう。取材中もお子さんが柱に手を添えてぐるぐると駆け回っていました。「この木が家族を守り、木の下で楽しく過ごす暮らしをイメージしました。もっとカントリーっぽくなるかなと心配したんですが、『割角』という材を使うことで節や割れもなく、美しい仕上がりになりました」と西久保さん。

「割角」とは、木の芯(年輪の中心)がない材角で、化粧材に使われるほど美しいのが特徴。反対に芯がある木材は「芯持ち材」と呼ばれ、梁や構造などに使われます。そりが少なく丈夫な反面、節や割れが目立ちます。一般的な天竜材は、戦後の拡大造林に植えられた樹齢70年前後のものを使うことが多いそう。しかし前田邸はその倍の樹齢150年、幹も太いので割角でも構造材として使うことができました。また、石牧さんが大工としての高い技術を持っていたのも仕上がりに関係があります。プレカットのように何も考えず材木を加工していくのではなく、一つひとつ材木を吟味してきざみすることで、使う場所に適した材を見極めることができます。実際に割角の梁を見てみると、表と裏で節の数がちがいます。見える面にまで気を使えるのが手刻み加工の魅力のひとつです。


ゆったりとした縁側には、前田さんたっての希望で薪ストーブを設置。火のある暮らしに欠かせない薪ストーブですが、薪の入手が難しいのが難点。「でも、仕事場の山に沢山落ちていますから」と前田さん。そのため、ナラやクヌギといった広葉樹を使うことが一般的ですが、前田邸では杉やヒノキの針葉樹を使用。近所には山もあるからお子さんと一緒に散歩がてら、必要の落ち葉を拾いに行くこともあるとか。「薪ストーブがあると、森の中で捨てられる木も、燃料という資源になるんですよ」と話すのが印象的でした。杉やヒノキを使っていることもあって、ストーブの扉を開けると煙がこぼれます。使い始めて3カ月ほどですが、ストーブの上の柱がいぶされて、ほんのり色づいているようにも見えます。日々の暮らしが刻まれていく様子に「木の家と薪ストーブは相性がいいと思いますよ」と話してくれたことがわかるような気がします。



自然の恵みに感謝して 自らつくる楽しさを知る

前田さんは千葉県出身。奥さまも神奈川県の出身とのことで、ふたりとも天竜には縁もゆかりもありません。大学卒行後、前田さんは尾瀬の山小屋で住み込みの仕事を始めます。その後、海外を放浪する中で、砂漠などとはちがい、どこでも草木が生える日本の自然のやさしさに気付きます。その後、バイクで日本を巡り、住みかとなる場所を探す旅に出かけます。

浜松にたどり着いたのは、以前林業の研修で滞在したことがあったことと、街と自然との距離が程よかったから。「和歌山の山にも行ったんですが、20代半ばの青年には素朴すぎました。なんか隠居生活見たいで(笑)」さらに、人生の目標とするおじいさんとの出会いも大きかったと言います。「山のお年寄りって本当に元気で、都会の人とは全然ちがう。僕の知っている方も山の斜面をすいすい上っていく。若い頃は『水窪のカモシカ』と呼ばれていたそうです(笑)畑仕事や山のことなど、暮らしの知恵や技術を持っているので、若い人たちから尊敬されています。自分もそんなおじいさんになりたいという憧れがありました」そんなことで天竜に漂着して、もう14年。きこりの仕事のかたわら、天竜の森の魅力を伝える活動を通じ仲間も増え、今ではすっかり天竜の人になりました。「天竜に根をはって、やっと芽が出てきた感じです」と前田さんが笑います。天竜材がふんだんに使われている前田邸。さらに、庭に植えられたクロモジといった植栽や石は山から持ってきたものだったり、庭の土留め板に天竜の材が使われていたり、山の恵みをそこかしこに見つけることができます。さらに、庭の片隅に奥さまお手製の竹の物干し台も。「僕の趣味は、暮らしだから」と笑う前田さん。

お金を払えばたいていのものを買える時代になりました。もちろん、お金で時間を買うという理屈も分かります。前田さんがきこりであることも理由かもしれませんが、捨てられる丸太を切って薪にしたり山の木や石で庭をつくったり、もらった鹿の肉を燻製にしたり、自然の恵みを資源として捉え、ものをつくることは、大げさですが、人生の大いなる楽しみなのではないかと思わずにはいられません。

前田さんが家を建てようと思ったきっかけは、子どもが生まれ、自分に何かあったときに、家くらい残しておきたかったからだといいます。それは、単なる箱としての家ではなく、そこのでの暮らし、生きるためのスキル、豊かな自然への感謝などを含めて「家」と言っているんだと、お話を聞いて気付きました。家は人生であり、学びの場でもあるのかもしれません。前田さんの新しい暮らしは、まだ始まったばかりです。

(撮影/内山文彦氏・文/キーウエストクリエイティブ)

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