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コラム

TOPICS & EVENT

天竜材の魅力について!日本三大人工美林が生み出す奇跡の素材

2025/01/05

天竜材の魅力について!日本三大人工美林が生み出す奇跡の素材

日本の伝統的な家づくりに欠かせない木材。その中でも、私たちが最も多く使用しているのは「天竜材」です。
静岡県浜松市天竜区の山山で生産される天竜材。
今回は、天竜材の魅力を、その優れた特性、歴史、環境への配慮といった様々な側面からご紹介します。

天竜材の魅力・その優れた特性と歴史


天竜材の品質と特徴



天竜材は、静岡県浜松市周辺の天竜川流域で生産される木材です。
この地域は、南アルプスと天竜川によって形成された急峻な山林地帯でありながら、温暖な気候と豊富な雨量に恵まれています。
雪もほとんど降らないため、まっすぐで節の少ない良質な木材が育ちます。


天竜材の主たる樹種はスギとヒノキです。
特にスギは、その美しい木目と優しい肌触りが特徴です。
同じ太さの他の地域のスギと比較して、天竜杉は年輪が緻密で、強度と耐久性に優れています。


また、ヒノキも同様に、芳醇な香り、高い耐久性、そして美しい木目が魅力です。
天竜材の品質を決定づける要素の一つに、ヤング係数があります。
ヤング係数は、木材の弾性係数を表す指標で、数値が高いほど強度が高いことを示します。


天竜材は、ヤング係数E70以上のものが全体の約8割を占め、建築材として高い強度と信頼性を誇ります。

私達が用いる天竜材は、重油を使って乾燥させる機械を使用せずに、じっくりと2年ほどかけて自然乾燥させる
天然乾燥材を採用しています。
環境に対して配慮している手法であるだけでなく、油分が抜けにくくなり、色つやが増したり、経年変化がより良くなる効果も期待できます。

天竜材の歴史と背景



天竜材の歴史は古く、江戸時代中期には本格的な植林が始まりました。
明治時代には、天竜川の治水事業の一環として、大規模な植林が行われ、現在では「日本三大人工美林」の一つに数えられています。
長年にわたる植林と森林管理によって、天竜地域には約10万ヘクタールもの広大な人工林が広がっています。


この広大な森林は、40万戸相当の住宅を建設できるほどの豊富な木材資源を供給しています。
現在では、住宅用木材に適している51年生以上のスギ、ヒノキが全体の約60%を占めており、安定した供給が期待されています。

天竜材と環境への配慮



天竜材の生産は、環境への配慮を重視して行われています。
持続可能な森林経営を推進することで、将来世代にも豊かな森林資源を残すことを目指しておりFSC認証を取得しています。
具体的には、適切な間伐や下刈りを行い、森林の健全性を維持しています。


また、植林された木材の伐採後には、再び植林を行い、森林の再生を図っています。
さらに、天竜材は、地元の林業従事者によって、丁寧に育てられ、伐採、加工されています。
地域経済の活性化にも貢献していると言えるでしょう。

私たちがお世話になっているフジイチさんは毎年、林業体験ツアーを企画しています。
上記のような、林業の実務やプロ目線での話が聞ける、面白いツアーです。


フジイチさん 主催の植林ツアーに参加した時の様子。
ご参加の予約はフジイチさんのHPからできます!

天竜材の活用と選び方



大工であり、設計チームである石牧建築は手と頭で木材について理解を深めながら家づくりを行っています。
私たちの木づかいに対するこだわりはSNSやイベントの際に紹介していきます。
気になることがあれば資料請求やお問い合わせからご質問ください!

 

石牧建築の坪単価で建てる家・予算と費用相場を解説!

2024/08/12

石牧建築の坪単価で建てる家・予算と費用相場を解説!

浜松市近郊で注文住宅をご検討中ですか。
理想のマイホームを実現するためには、予算と費用感の把握が非常に重要です。
特に、坪単価は家の価格を大きく左右する要素の一つと言えるでしょう。
今回は、浜松市で高い評価を得ている石牧建築の坪単価、価格帯、そして費用に関する情報を詳しく解説します。


石牧建築の坪単価と費用相場を解説

坪単価の目安と価格に影響する要素



石牧建築の坪単価は、65万円~95万円と幅があります。
この価格差は、使用する材料、設計の複雑さ、設備仕様、そして土地の条件など、様々な要素によって生じます。
例えば、複雑な形状の建物を建築したり、耐震性能、断熱性能を標準仕様以上に引き上げる場合は、材料費が高くなるため坪単価も上昇する傾向があります。


一方で、シンプルで無駄のない設計にすることで、コストを抑えることが可能です。
また、高級感のある設備や、特殊な工法を採用する際には、追加費用が発生します。
土地の状況も重要で、地盤改良が必要な場合は、別途費用がかかります。


石牧建築では、お客様のご予算に合わせて柔軟に対応できるよう、様々なプランをご提案しています!
まずは、ご希望の広さやデザイン、設備などをイメージしながら設計部へご相談ください。
土地探しからお手伝いさせて頂いたり、FP相談のアポイント(初回無料)を取るなど家づくりを行う前段階からの相談も承ります!
頼れるプロフェッショナルの皆さまと、私達設計&大工チームが理想的な木の家の暮らしをご提案します。
気になる方は、資料請求やお問い合わせフォーム、またはお電話にてご相談ください!
石牧建築 事務所
TEL:053-523-9180


予算を抑えつつ、理想的な暮らしを実現する住まい
コスパ良く高性能な住まいを実現したい



予算を抑えたい場合、いくつかの工夫が考えられます。
まず、建物の広さを抑えることで、大幅なコスト削減が期待できます。
本当に必要な空間かどうかを吟味し、無駄な広さを省くことで、坪単価の負担を軽減できます。


次に、使用する材料の見直しも有効です。
例えば、私たちが推奨する、多々物の高さを抑えた設計を行なうことで材料費を抑えることが可能です。
また、設備についても、価格帯の異なる商品を比較検討し、コストパフォーマンスの高いものをご提案いたします!
沢山ある要望の中から、皆様の暮らしにあったインテリアプランまで一緒に考えていきましょう。


石牧建築では、自社一貫体制によるコスト削減効果も期待できます。
設計、施工、アフターサービスまでを自社で行うことで、中間マージンを削減し、お客様に還元できる仕組みが整っています。
さらに、地元産材である天竜材を積極的に活用することで、材料調達コストを抑える工夫もしています。
良い材料と、手仕事で作る高性能な住まいをコストパフォーマンス良く。
これが私たちの家づくりです。




石牧建築 家づくりのこだわり

詳しくは、石牧建築HPのホームから各項目についてご覧いただけます!

まとめ



この記事では、石牧建築の坪単価、価格帯、そして費用に関する情報を網羅的に解説しました。
65万円~95万円という坪単価は、使用する材料や設計の複雑さなどによって変動しますが、天竜材の活用や自社一貫体制によるコスト削減効果により、お客様にとって魅力的な価格帯を実現しています。
予算を抑える工夫や、石牧建築が選ばれる理由についても詳しくご紹介しました。

自然素材の家を建てるメリットについて解説!

2024/06/19

自然素材の家を建てるメリットについて解説!

自然素材の家、憧れますよね。
木の温もり、土の香り。
想像するだけで心が安らぎます。
でも、実際に自然素材の家を建てるには、どんなメリットがあるのか、デメリットはないのか、気になりますよね。
今回は、自然素材の家の魅力を、健康面、機能面、環境面など多角的に見ていきます。

自然素材の家のメリット・健康と快適な暮らし


健康に配慮した素材選び・シックハウス症候群対策



シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどの化学物質は、建材から放出されます。
自然素材の家では、無垢材、漆喰、珪藻土など、化学物質を含まない天然素材を多く使用することで、シックハウス症候群のリスクを大幅に軽減できます。
特に小さなお子さんや、化学物質に敏感な方は、健康面でのメリットを実感しやすいでしょう。

1: 無垢材:木のぬくもりと安心感


無垢材は、天然の木材をそのまま使用した素材です。
化学物質を含まず、抗菌作用もあるため、小さなお子さんにも安心です。
また、木の香りがリラックス効果をもたらし、心身ともに癒される空間を創り出します。

2: 漆喰:調湿効果と消臭効果

漆喰は、石灰を主成分とした自然素材の壁材です。
高い調湿効果で、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせる快適な室内環境を実現します。
また、消臭効果も高く、ペットを飼っているご家庭にもおすすめです。

3: 珪藻土:吸湿・放湿と消臭効果


珪藻土も、調湿効果と消臭効果に優れた自然素材です。
無数の微細な穴が、空気中の湿気や臭いを吸収・放出します。
梅雨時期の湿気対策や、生活臭の軽減に役立ちます。

 

天然素材の温もりと癒しの空間



自然素材の家の最大の魅力は、何と言ってもその温もりと癒しの空間です。
無垢材の柔らかな肌触り、漆喰の優しい色合い、珪藻土の自然な風合い…五感を刺激する自然素材は、心身のリラックスをもたらし、日々の暮らしを豊かに彩ります。

1: 木の温もり:心安らぐ空間


無垢材の床を裸足で歩けば、木のぬくもりを感じることができます。
天然木の温かさは、心身をリラックスさせ、安らぎを与えてくれます。

2: 自然の香り:森林浴効果


無垢材からは、天然木の優しい香りが漂います。
この香りは、心身をリラックスさせ、森林浴のような効果も期待できます。
天然乾燥の天竜材からはさわやかな香りが漂ってきます。
見学会などのイベントでは、このような空間の香りも体感いただけます。



自然素材の家のメリット・環境への配慮と経済性


環境負荷の低減・サスティナブルな家づくり



自然素材は、環境への負荷が少ないサスティナブルな家づくりに貢献します。
資源の消費を抑え、廃棄物も少なく、地球環境への負担を軽減できます。
また、自然素材は、地域材を使用することで、地域経済の活性化にも繋がります。
天竜材を上手に活用し、浜松の人間が家を建てる。
そうすることで、良い素材をコストパフォーマンス良く皆様にお届けできています!

1: CO2排出量削減:環境に優しい素材


自然素材は、製造過程で発生するCO2排出量が少なく、環境への負担を軽減します。
特に地元産の材料を使用することで、輸送によるCO2排出量も削減できます。
天然乾燥と手刻みを採用したアナログな製作は効果覿面。
アナログな仕組みをシステム化して効率を上げた私たちの家づくりは、現代版大工の技術が詰まっています。

2: リサイクル:資源の有効活用


自然素材は、使用済みになった後も、リサイクルや再利用が可能です。
資源の有効活用に貢献し、廃棄物削減にも繋がります。

長期的なコストパフォーマンス・メンテナンスについて



自然素材の家は、初期費用が高くなる傾向がありますが、長期的な視点で見ると、コストパフォーマンスに優れていると言えます。
耐久性が高いため、メンテナンス費用を抑えられ、結果的に経済的なメリットが得られます。

1: 耐久性:長持ちする家


自然素材は、耐久性が高く、長期間にわたって使用できます。
そのため、リフォームや修繕の頻度が少なく、結果的にコストを抑えることができます。

2: メンテナンス:適切な手入れで長寿命


自然素材は、適切なメンテナンスを行うことで、その寿命を長く保つことができます。
定期的な清掃やワックスがけなど、適切な手入れを心がけましょう。



自然素材を選ぶ際の注意点



自然素材は、種類によって特性が異なります。
例えば、無垢材は、種類によって硬さや耐久性が異なり、傷つきやすさにも差があります。
また、漆喰や珪藻土は、汚れに弱いというデメリットもあります。
素材の特性を理解した上で、適切な場所で使用することが重要です。

まとめ



この記事では、自然素材の家のメリットを多角的に解説しました。
健康面、機能面、環境面でのメリットに加え、素材選びのポイントや注意点をまとめました。
自然素材の家は、初期費用が高くなる可能性がありますが、健康的な暮らし、快適な住環境、そして環境への配慮という多くのメリットがあります。
長期的な視点で家づくりを考えている方にとって、自然素材の家は魅力的な選択肢となるでしょう。

桜軸の家

2022/11/02

桜軸の家

「石牧さんの家を建ててほしい」。そうリクエストいただいて現地にお伺いしたとき豊かな自然を最大限に生かし、庭の桜の木をシンボルにしようと思いました。本当にお任せという真っ新な状態で家づくりをさせていただくことは、あまり機会がないこと。思い切り石牧建築らしい、私たちがご提案したい家を設計させていただいた、とても印象深い家です。
設計図をご覧いただいた際、「この家のネーミングは?」とキラキラしたした期待の目を向けられ、お時間をいただいて付けた名前が「桜軸のいえ」でした。桜の方向に軸を取り、その軸に対して直角に床板を張ることで目線が桜に向くように。桜を中心に空間が広がり、家族の幸せが広がるようにと願って。

石牧建築の家を気に入り、お任せで家を建てた鈴木様に家づくりのエピソードや暮らしの楽しさをうかがいました。


石牧建築 しましま設計室 一級建築士 西久保 美和

家を建てようと思ったきっかけは何でしたか?

ご主人
妻に「おいしいコーヒー屋さんがイベントに出店するから行かない?」と誘われて行ったのが、石牧建築さんの現場見学会だったんです(笑)。僕はその時、家を新築する気は全然なくて、ホントに家族でお出掛け気分でした。でも現地に行ってみたら、木をふんだんに使っていて、梁が見えたり漆塗りだったり、2つとない家だというのが随所に感じられました。良いな、こういう家に住みたいな、という気持ちが湧いてきました。そこからちょっと話を聞こうかという話になり、ローンのこともいろいろアドバイスやご提案をいただいて、家づくりが急に現実味を帯びてきたんです。そして、年齢的にも今しかない!と(笑)。
奥さま
私は、結婚したら自分たちの家がほしいとずっと思っていたので、その気になったらいいなーという下心があって誘ったんですけど、期待以上にその気になってしまって。ほとんど衝動買い(笑)。初めての見学会は『漆梁の家』ですごく良かったんですけど、次に見に行った『星乃家』もすてきでした。
ご主人
石牧建築さんの家を見て、ホームページを拝見させていただいて、マイホームの概念が変わりました。それまでは、目に入ってくる情報として、いろんなところが注文住宅とかうたっているけど、どうせABCの中から選択するくらいでしょ、似たかよったかじゃないの?と思っていました。それに、一番のPRポイントが地震に強いって、そんなの当たり前じゃないの?って。だから全く響かなかったんですよね。
奥さま
そうそう。地震に強いって、それって常識じゃないの?と。当たり前についてくるものだと思っていたから、私たちにとってはPRポイントにはなっていなかったよね。
ご主人
確かに。でもそういう素人の考えをしっかり受け止めてくれてるなと思ったのも、石牧建築さん。石牧建築さんで家を建てたいと思ってから、会社の考えとかを知りたいと思って、ウェブサイトとブログを隅々まで読み込みました。その中で一番心に響いたのは、社長さんのブログ。耐震性とか気密性とか、石牧建築さんの一番のPRポイントは機能性ではないのに、そこをしっかり説明していた。素人では分からないことも分かりやすく説明していたし、知識の深さもうかがい知れるものだったので、とても信用できたんです。デザイン性がすばらしくて、機能性もしっかりあって、おまけに大工仕事ってところも、僕としては非常に好感が持てました。

どのように家づくりが進んだのですか?

西久保
設計を始める前に、『おうちノート』というヒアリングシートのようなものがあって、住みたい家のイメージや、どんな暮らしがしたいか、どんなお部屋や間取りが欲しいかなど記入していただくんですが、鈴木様はびっくりするほど少なかったんです。大抵のお客さまはびっしりノートいっぱいに書かれるんですけど、鈴木様は外観や全体のイメージのご希望は書かれていなくて、猫の部屋、食洗機、ウッドデッキとか超ピンポイント。本当に最低限欲しいものだけを書かれているなという印象で、いつもと違うぞと、逆に戸惑ったことを覚えています。
奥さま
石牧建築さんの家を見に行ったら感じが良かったから、こういう家がいいなーとしか思わなかったですし、こういう家を建ててくれると信じていました(笑)。
ご主人
自分たちは、当たり前だけど家に関して素人。石牧建築さんの家を見て「これが良い」と思ったので、「石牧さんの家を建ててください」と。それが一番の希望でした。どんな提案をしてくれるのか、とてもワクワクしました。
西久保
ある意味プレッシャーでしたが、そういうオファーをいただけたことが本当にうれしかったですし、腕が鳴りました。実は内心「やった!」とガッツポーズしてました(笑)。石牧建築の良さを存分に詰め込んで、さらに私が好きなテイストをスパイスにした家を建てられるなんて、こんなチャンス2度とないかもしれないと。私もワクワクして楽しかったです。
奥さま
設計図を見ても、「良い!すてき!」としか感想がなかったです。唯一の変更は、キッチンの向きを窓側ではなくリビング側に、庭に向くように変えてもらったことでした。
西久保
石牧建築の家を本当に気に入ってくださったんだなと、うれしさが募りました。でも納戸としてご提案したつもりだった部屋が、お二人の中では最初から「猫の部屋」として認識されて話が進んでいったのは、楽しい誤算でした。私的には、猫も快適に住める家というイメージで、単独で猫の部屋を作ることは想定していなかったんですけど、うれしそうなお二人を見て「それは納戸です」とは言えず、今初めて言いました(笑)。

この家のポイントは、なんと言っても桜を中心としたところでしたね。

西久保
初めてこちらに伺ったとき、桜の木がとても印象的で、これをシンボルにした家という方向でイメージが膨らみました。家全体の造りや雰囲気はシンプルに仕上げ、ひとさじアクセントとして桜に向かって床板を斜めに張りました。桜の木へ目線が向くようになり、また部屋自体の視覚的拡がりも生まれます。私がこの家の設計でこだわったことのひとつです。大工さんにも「ここの出来栄えで、この家のすべてが決まる」と伝えました。
奥さま
どおりで!大工さんが時間をかけていたわけが今分かりました。実は毎日のように家づくりの現場を見に来ていたんですけど、床板をはめるとなったとき、最初に取りかかった角の数枚に、大工さんがすごく丁寧に時間をかけていたんですよ。「大変そうだなー」「あ、床板斜めなんだー」と思って見ていたんですけど、西久保さんからのプレッシャーがあったんですね(笑)。
西久保
手間がかかるのは分かっていましたが、本当にこの家の肝になる部分だったので、家づくりの想いをしっかり共有したいと思ったんです。
ご主人
斜めの床板とか、そういうアクセントの付け方の概念は素人にはないもので、まさにプロの仕事、こだわりを見せてくれた!という感じで感動しました。それに住み始めてみて、本当に桜の方へ意識が向くことに再び感動。僕たちにとっては当たり前だった景色が、桜を中心にした家を建ててくださったことで、特別な景色になったと思います。
奥さま
親族の家族もみんな集まって、お弁当作って、ウッドデッキでお花見もしたしね。それだけでも石牧建築さんに家を建ててもらって良かったって思えます。

実際に暮らしてみて、住み心地はいかがですか?

ご主人
本当に住みやすいと日々感じています。おしゃれだけど、いや、おしゃれだからこそ、すべて計算し尽くされていて、無駄がない。こういうのを機能美って言うんでしょうね。豪邸という言葉の概念も変わりました。今までは豪邸は贅沢な広さの豪華な家だと思っていましたけど、石牧建築さんの家に住んでみて、住みやすくて生活が楽しい家こそが豪邸と呼ぶにふさわしいと。普段の生活の中にある心の贅沢を感じられるかどうかって、大事だと思うんです。あとは、妻が毎日すごく楽しそうに暮らしていること(笑)。そこが僕の何より一番の満足ポイントです。
奥さま
周りの環境を最大限に生かしていて、自然に溶け込んでるところも私は好きです。
西久保
この環境、なかなかないなと思って生かしたいと思いました。最初に来たときは、正直「すごい所に来ちゃったな」と思いましたし、出会う虫たちがことごとく見たことのない大きなサイズだったのも、驚きましたけど。
奥さま
それ、私も思いました。私の生家は海の近くで結構な田舎だったのですけど、真逆の山奥の田舎に来たなと。驚くこともありましたけど、すっごく静かでこっちの環境の方が好です。ただ、初夏のカエルの大合唱だけは驚きを超えて衝撃的でしたね。でもあるとき、学者さんがわざわざカエルの声を録りにくるくらい貴重な場所だということを知って、ここにしかない特別な音楽なんだと思うようになりました(笑)。
西久保
こんなに自然に囲まれていて、景色も風も心地良いし、沢も近くにあって空気も何だか清らかだし、本当に良いところですよね。石牧建築の木の家にぴったりの場所だと思いました。

石牧建築は天竜杉など地元産の木を使っているのですよね。

西久保
そこが私たちの強みです。
ご主人
僕が家を建てたいと思ったきっかけを作ってくれたのは、石牧建築さんのこだわりが見える木の家との出会い。木をふんだんに使ってもらいたくて、作り付けの家具も家と同じ木を使って作ってもらえるよう、オーダーしました。
西久保
床をはじめとした家の素材や、テーブルなどの家具類は天竜杉。キッチンのカウンターは天竜産の山桜です。家具は「わざわ座」という家具デザイナー・小泉誠さんと大工さんのコラボ作品です。
ご主人
大工仕事とデザイナーというおしゃれ感と、すぐ隣の天竜で育った地元の木を使っているというこだわりも、非常に惹かれました。それから、西久保さんが設計士にもかかわらず、現場によく足を運んでくれることとか、墨付けを自らしてくれたことなどは特に感動しました。僕たちの家をつくるために、今までやったことがない大工仕事にチャレンジしてくれた。そのことがすごくうれしかったです。
西久保
そう感じていただけていたなら、私もとてもうれしいです。墨付けは本来、熟練した大工の技が必要な作業。大工のプライドのかかった仕事と言っても過言でありません。そんな大役を任せていただくことになり、鈴木様からの信頼の厚さに感動しつつも、これまでにないプレッシャーも感じました。しかし、お任せいただいたからにはやり切ろうと思いました。さすがに手刻みはできませんけど、石牧建築の仲間から身をもって大工仕事を学んでこいと背中を押され、大工さんに弟子入り状態で教えてもらうことになりました。春野の加工所に通って墨付けをした日々は、とても大変でしたが充実していて、とても良い経験ができました。そんな機会をくださったお二人に感謝しています。

この家のお気に入りポイントはどこですか?

ご主人
すべてです(笑)。さっきも言いましたけど、生活していて無駄な場所がないこと、そして奥さんが笑顔でいてくれること。全部が気に入っています。
奥さま
私はキッチン。特に壁面の一部に使ってあるグレーがかかった微妙な色合いのベージュのタイルがすごくいいなって。あとは、リビングに立って桜の木方向を向いて見上げたときの、障子と梁の感じがとても好きです。木のぬくもりが感じられるむき出しの梁はもちろんですが、上の窓に障子というチョイスがおしゃれだなって。
ご主人
そういうピンポイントなら、あります。漆塗りのトイレの床。床でも家具でもどこでもいいから、どこかに漆を塗ってかっこよくしてほしいとリクエストしたんです。それで、その場所は家ができるまでのサプライズにしてくださいとも。
西久保
トイレの床や、洗面カウンター、キッチンの側板など。あと、テーブルの裏の梁(たわみの止め)にも施しました。
ご主人
家ができたとき、宝探しみたいですごく楽しかったです。
奥さま
玄関も私は好き。木の外観なのに玄関だけコンクリートでモダン。ちょっと隠れ家みたいな雰囲気がかわいい。
西久保
ちょっと離れのような立ち位置にあるので、大きな玄関ではなく母屋の勝手口というイメージで、小さめに、そしてアクセントとしてモルタルの玄関にしました。私もここ、お気に入りの一つです。
ご主人
外観と言えば、このボコボコした押縁のデザインもおしゃれ。こういうの見たことがなくて、他にないなと。自慢の一つです。あと、表札の字は、西久保さんが書いてプレゼントしてくれたんですよね。最後の仕上げ、みたいな感じでうれしかったです。ありがとうございました。

最後にこれから家を建てたいと思っている皆さんにアドバイスを。

ご主人
一生物なのでこだわった家にした方が良いと思います。僕らも妥協して後悔したくないと思いました。石牧建築さんというすばらしい出会いがあって、お任せ状態で建てた家ですが、妥協したところはありません。この出会いが妥協するところがないという状況を生んでくれたと思うので、すごく恵まれているんじゃないかと思いますが、家を建てる会社を選ぶところで妥協しないことが一番かなと思います。
奥さま
良いなと思った家をつくっている会社と、建てる人との出会いは特に大切だなと思います。西久保さんに家づくりをお任せして、本当に感謝しています。暮らしていて、本当に困ることとか、こうすれば良かったと思うところがないんです。だから家を建てるときも、人との出会いは大切にしてほしいかなと思います。

価値観を変える木の家

2022/11/02

価値観を変える木の家

石牧建築と出会い 木の魅力に惹かれていく

まだ所々に田畑が残る住宅街の一角。見事な大屋根の木の家が、今回訪問するK邸です。大規模既存集落制度を利用して、昨年の7月に新居が完成。独特の削り跡が印象的な日本古来の伝統技術、なぐり加工を施した玄関扉を開け中に入ると、勾配天井に吹き抜けが広がる開放的なLDKが出迎えてくれます。木がふんだんに使われた空間は、まるで森の中にいるような居心地のよさを感じます。

まず目をひくのが、8寸(24cm)もある黒色の大黒柱と、赤色に塗られた8角形の柱。生漆(きうるし)に黒と赤の顔料を混ぜ、塗りと拭き取りを何度も繰り返して仕上げたそう。さも、木の家にこだわったように見えるK邸ですが、「無垢材って言葉を知ったのも、工務店探しをしているときなんですよ」と笑いながら答えるKさん。

実家と同じように大手ハウスメーカーで家づくりを始めるもうまくいかず、幾つもの工務店を研究。「雑誌などで徹底的に調べたから、家を見ただけでどの工務店か分かるようになったんですよ」と、いたずらっぽくツッコミを入れる奥さま。先日紹介した「遠州匠の家」のKさんが会社の後輩ということもあり、石牧建築にたどり着きました。

「石牧建築代表の石牧真志さんと最初にお会いしたとき、家のことはほとんど話さなくて、山のこと、天竜杉のこと、手刻みにこだわっていることなど、木についての話が2時間ほど続いて(笑)。印象的だったのが、一般的な工務店は、白くてきれいな優等生の木だけを使うけれど、石牧建築は劣等生の木も使うという話でした」

「石牧建築では、他社では使いにくいといわれる山の下に生えている黒い木も扱います。手刻みにこだわり、木目の見え方、節の量、木のクセなどを一本一本確認しているからこそ、商業的な面で見ると劣等生といわれる木があっても、適材適所で使い分けるとことができるんです」と、K邸を担当した佐原広祐さんが説明してくれました。


それから木のことをいろいろと調べ始めたKさん。調湿、消臭、抗菌、防ダニ、肌触り、経年変化など、新建材にはない木の魅力にどんどんひかれていきます。「この2つの木を持ってみてください」と、取り出した木片を取材班に手渡します。「あ、重さが全然ちがいますね。この黒い方がずしんと重さがあるというか」と取材班。「この黒い木は桜で、軽いのが杉。樹種によってこれだけちがいがあるんですよ。香りもちがうので、かいでみてください」と楽しそうに説明してくれます。

「LDKの床を見て何か気付きませんか」と、次はクイズが始まりました。何度か往復して、「あ、節の数がちがう!」。何も言わず笑顔になるKさん。床はヒノキの無垢材を使用。キッチン側は節が多いけれど、お客さんも過ごすリビング側の床はほぼ無節。「仕上がりを考え、一枚一枚、節の量を確認して貼ってくれているんです。そういうのって、うれしくないですか」とKさん。

「なんだか、石牧建築さんの営業マンみたいでしょ」と笑う奥さま。「植林の下草刈りにも参加したいって言うくらい、この家を建ててから木が好きになったんですよ」。玄関横の壁には、無理を言ってもらったという石牧建築のポロシャツが飾られていました。


ものを選ぶ基準が 毎日の暮らしを彩る

ここ数年は家を建てることが目標だったKさん。新居が完成し、今はこれといった趣味がないそうで、休日はホームセンターに行ったり、子どもと一緒に遊んだりすることが多いと言います。長男のタクトくんが生まれ、奥さまが育児で大変ということもあり、娘さんとふたりで遊ぶ機会が増えました。ウッドデッキがあるので、ピクニック感覚でお弁当やおやつを食べたり、庭で泥遊びをしたり。どれも以前のアパート暮らしではできなかったことばかりです。

庭の一角には、最近始めたという家庭菜園が作られ、ナスやトマト、ハーブ、ミカンなどが植えられています。すると長女のリオちゃんがやってきて、「こっち、こっち」と、玄関へ案内してくれます。玄関横にはブルーベリーが植えられ、小さな実を見つけることができます。「子どもも水やりを楽しんでいるので、大きく育つのが楽しみですね」。趣味はないと言うKさんですが、家ができ、お子さんと一緒に暮らしを楽しむその時間が、何よりの趣味なのかもしれないなと感じました。

石牧建築に造作してもらった食器棚や本棚、遠州面紬をあしらった建具、地元作家による洗面鉢など、家の中にはストーリーのあるものを見つけることができます。「木の空間が映えるように、既製品はあまり買わなくなりましたね。価値観が変わったというと大げさですが、ものを選ぶことに意識的になった気がします。先日も作家さんが作ったコーヒーカップを買ったのですが、以前だったらきっと買ってなかったと思いますよ(笑)」

木の家だとキズが心配じゃないですか、とたずねると、「最初は気にしていましたが、一度キズを付けると、もう気にならなくなって」と笑うおふたり。キズは味わいになるし、年月がたって色が変わっていくのも、木ならではの魅力だと思えるようになったと言います。「石牧さんは、手垢や脂、子どもが裸足で走り回って木が黒くなっていくのがいいんだよねと言うんですが、さすがにそれは理解できなくて(笑)。まだ修行が足りないんですかね」と笑うKさん。



「木の家ってもっと和風なイメージがあったから、ここまで快適で、おしゃれな家になるとは思ってもみなかったです。ママ友からもすてきだねとほめられてうれしいです」と家づくりを振り返る奥さま。「僕たち素人は、家を建てるとなったらとりあえずハウスメーカーの展示場へ行く。木の家に関する知識も、出会いの場も少ないんです。工務店やメディアは、木の家の魅力をもっと伝えた方がいいですよ」とKさんが続きます。つられて「すみません」と謝る佐原さんのひと言に、みんなが笑いに包まれます。手に入れたのは木の家だけでなく、ずっと良好な関係を築ける工務店だったのだと感じた瞬間でした。

(撮影・文/キーウエストクリエイティブ)

 

 

家族の思い出を刻む家

2022/11/02

家族の思い出を刻む家

3年が過ぎ、ひとまわり成長した家族と家

浜北区にある新興住宅地。さまざまなカタチの家が建ち並ぶ中、木の塀と大きく育った木々に包まれた家が見えてきました。


エントランスを抜け、玄関を開けると、「こんにちは」と、子どもたちが元気よく出迎えてくれます。天竜の杉やヒノキをふんだんに使った床や天井、丁寧に仕上げられた漆喰の白い壁が、やさしく落ち着いた空間を作り出していて、温和なKさん夫妻にぴったりだなと感じました。

東京都出身のご主人と、新潟県出身の奥さま。お互いの故郷から遠く離れたこの浜松に家を建てたのは3年前のこと。新築当時はほっそりとした木々も太さを増し、大きく枝葉を伸ばしています。
昨年の冬には3人目のお子さんが誕生。新築の打ち合わせの頃、トーマスが好きだったユウスケくんは、今では「スター・ウォーズ」に夢中。泣き虫だったサキちゃんは、赤ちゃんのお世話をかってでるお姉ちゃんに成長。子どもの成長が3年という歳月の長さを教えてくれます。


「3年暮らしてみて、失敗したなぁと思うことはありませんね。今、石牧建築さんに収納棚をオーダーしています。家族が増えたということもありますが、まずは住んでみて、必要だなというタイミングで作りたかったんです」とKさん。
リビング階段を中心に回遊できる間取りのK邸。小学校や幼稚園から帰ってきた子どもたちは、玄関から洗面所へ向かい、手を洗ったあと、そのままLDKへ。
「だから、洗面所のそばにランドセルや荷物などを置ける棚があると便利だなと思い、オーダーすることを決めました」。

LDKには石牧建築が造作した、遠州織物をあしらったテレビボードやカウンターテーブルがあります。
「とっても便利なんですけど、あとから収納ボックスを使おうと思ったら、空いている壁がなくて、置くことができなかったんです(笑)。最初から作り込みすぎないのも大事ですね」と笑う奥さま。


天竜杉を使った床は暖かで足触りもよく、子どもたちは一年中はだしで遊んでいるそう。冬でもひんやりしないから、奥さまもスリッパをはかなくなりました。特に木の家が心地よいと感じるのは、梅雨時だと言います。
「以前、住んでいたアパートは湿気がひどくて。この家は床も天井も木だし、柱が見える真壁造り。仕上げに使った漆喰のおかげもあって、じめじめせず、いつもさらさらしています」とKさん。
同席していた石牧建築代表の石牧真志さんが、「断熱材に使ったセルロースファイバーも調湿効果があるので、それも影響していると思いますよ」と補足してくれました。

勾配天井でこもり感のある寝室は快適で、寝苦しさを感じたことはないと話します。
「子どもを寝かしつけると一緒に寝ちゃうことも少なくないですよ」。
新規開発プロジェクトのリーダーを任せられ、やりがいとプレッシャーの間で忙しい毎日を送るKさん。土日も仕事をすることが増え、生まれたばかりのサユちゃんの笑顔、子どもたちと遊ぶ時間がなによりの癒やしの時間です。



手をかける暮らしが愛おしい時間を育てる

「この家に住み始めて暮らしが変わったとか、趣味が増えたとか、そういうことはありませんね」と、こちらの期待を裏切るおふたり。「でも、ダイニングテーブルは年に1回、必ずメンテナンスしていますよ」。

林業を営まれている奥さまのご実家。床の間で使われていたケヤキの板を譲り受け、石牧建築が6人掛けのダイニングテーブルに仕上げました。メンテナンスをするのは年末か春先。表面の汚れをサンドペーパーを使って丁寧に削り、自然塗料のオイルを塗り込みます。オイルは1度乾燥させたあと、もう1度塗り込む。子どもには手伝わせない、Kさんの仕事です。
「塗りむらや家を汚されるのがイヤというのもありますが、もくもくと集中して作業するのが楽しいんですよね。じゃまされたくないというか(笑)」。 


ふと目をやると、和室の漆喰の壁に落書きがあるのに気が付きました。
「最初に緑のペンで落書きして、これはマズイと思ったらしく、消そうとしてオレンジのペンで上からぐしゃぐしゃと(苦笑)」。
住み始めて半年くらいのことだったから、ふたりのショックは相当なものだったはず。でも、この事件をきっかけに家のキズには寛容になり、今はいい思い出だと笑います。漆喰はいつでも塗り直すことができますが、これがクロスだったら……。部分的な修復は不格好なので全面張り替え、そもそもクロスが廃番になっていて直すことができないというケースもあるそうです。

開け放った窓から心地よい風が室内を駆け抜けます。大きくなった木が縁側に影を落とし、葉が風に揺られさらさらと音を立てています。
「木の剪定も彼がするんですよ」と奥さま。「高い場所の枝はしなってノコギリと一緒に動いちゃうから切るのが大変なんですよ。愛着のない家だったら気が進まない仕事ですが、今は一つひとつの家仕事がとても楽しいですね」と笑うKさん。
この夏には庭の一部を花壇や家庭菜園にする予定だと教えてくれました。


浜松で生活をしてもう10年になるKさん。この家に住み始めて、やっと自分の場所だと思えるようになったと言います。木が少しずつ根を張っていくように、自分の家で暮らす日々が、浜松を自分の場所に変えていったのかもしれません。

休日は、赤ちゃんがいるのであまり遠出はせず、近くのパン屋さんで焼きたてのパンを買って、公園やピクニックに出かけることが増えたそう。
家にいても子どもたちは部屋中をぐるぐる走り回ったり、なわとびの練習をしたり、キャッチボールをしたりと自由奔放。リビングはすっかり子どもたちの遊び場になりましたが、いつかは大人の安らぎの場所にしたいとふたりは思っています。

「ちょっといいソファを買って、ギャッベを敷いて。そばには照明スタンドがあって。ふたりでのんびりお酒を飲んだり、ゆっくり映画を観たりしたいですね。でも、いつのことになるやら(笑)」。
言葉ではそんなことを言いながら、子どもたちが遊んでいる様子を愛おしく見つめるふたりがいました。
床にはミニカーを落としたあとがあり、ダイニングの杉の柱には、誕生日毎に測った子どもたちの身長が記されています。
「4歳のときのユウスケよりも、今のサキの方が背が高いね」と笑うふたり。家のあちこちに家族のかけがえのない物語が刻まれているK邸。


 

「家は、暮らしとともにある」。そんな言葉がよく似合うご家族でした。

(撮影・文/キーウエストクリエイティブ)

 

大きな木が見守る家

2022/11/02

大きな木が見守る家

天竜二俣駅から車で5分ほど。二俣川にほど近い山の麓に前田さんの家はあります。杉林を背景にブラウンの落ち着いた外観が映えます。にょきっとのびた薪ストーブの煙突、家のコーナーを横貼りにした杉板であしらった多角形コーナーが印象的。


前田さんがこの場所に家を建てたのは昨年の5月。「ローンを申請したら、うっかり通ってしまって」と笑います。
きこりの仕事だけでなく、天竜の森の魅力を伝えるイベントを企画したり、学校などで出張講座をしたり、多岐にわたり活躍。観音山の東麓にある活動拠点「Kicoroの森」にはリノベーション中の古民家もありますが、子どもの通学のことを考えると不便ということもあって泣く泣くあきらめることに。


「天竜の森の魅力を伝える仕事をしているから、さすがに外材を使う訳にはいかないし(笑)天竜材を使うことにこだわったほか、間取りなどは妻にお任せしました。もっと時間があれば自分が伐採した木を使って家を建てたかったんですが、残念ですね。もしかしたら、昔に切った木が混ざっているかもと期待はしていますが」そんな前田さんが家づくりのパートナーに選んだのは、春野町に自社工房を持ち、大工職人でもある「石牧建築」の石牧真志さん。設計は石牧さんと親交の深い「しましま設計室」の西久保美和さんが担当しました。

奥様の要望は和室があることと、小さくてもいいので家族それぞれのスペースが欲しいというもの。何度かの打合せを重ねて西久保さんが提案したのは、リビングダイニングスペースに畳を敷いた「茶の間」のある家でした。前の家から使っている大きな座卓を家族5人が囲みます。ご飯を食べてお腹いっぱいになったら、そのままごろんと横になったり、座卓をどかせば遊びに来た友人が泊まる客室になったり、いろんな使い方ができるのが魅力。い草の香りにも癒されます。


畳みの向こうには板の間があり、この家を特徴付ける多角形のコーナー縁側へと続きます。2つの空間をゆるやかに区切るように八角形のヒノキの大黒柱がそびえます。そこから放射状に柱が伸びる姿は、まるで枝を広げた大きな木のよう。取材中もお子さんが柱に手を添えてぐるぐると駆け回っていました。「この木が家族を守り、木の下で楽しく過ごす暮らしをイメージしました。もっとカントリーっぽくなるかなと心配したんですが、『割角』という材を使うことで節や割れもなく、美しい仕上がりになりました」と西久保さん。

「割角」とは、木の芯(年輪の中心)がない材角で、化粧材に使われるほど美しいのが特徴。反対に芯がある木材は「芯持ち材」と呼ばれ、梁や構造などに使われます。そりが少なく丈夫な反面、節や割れが目立ちます。一般的な天竜材は、戦後の拡大造林に植えられた樹齢70年前後のものを使うことが多いそう。しかし前田邸はその倍の樹齢150年、幹も太いので割角でも構造材として使うことができました。また、石牧さんが大工としての高い技術を持っていたのも仕上がりに関係があります。プレカットのように何も考えず材木を加工していくのではなく、一つひとつ材木を吟味してきざみすることで、使う場所に適した材を見極めることができます。実際に割角の梁を見てみると、表と裏で節の数がちがいます。見える面にまで気を使えるのが手刻み加工の魅力のひとつです。


ゆったりとした縁側には、前田さんたっての希望で薪ストーブを設置。火のある暮らしに欠かせない薪ストーブですが、薪の入手が難しいのが難点。「でも、仕事場の山に沢山落ちていますから」と前田さん。そのため、ナラやクヌギといった広葉樹を使うことが一般的ですが、前田邸では杉やヒノキの針葉樹を使用。近所には山もあるからお子さんと一緒に散歩がてら、必要の落ち葉を拾いに行くこともあるとか。「薪ストーブがあると、森の中で捨てられる木も、燃料という資源になるんですよ」と話すのが印象的でした。杉やヒノキを使っていることもあって、ストーブの扉を開けると煙がこぼれます。使い始めて3カ月ほどですが、ストーブの上の柱がいぶされて、ほんのり色づいているようにも見えます。日々の暮らしが刻まれていく様子に「木の家と薪ストーブは相性がいいと思いますよ」と話してくれたことがわかるような気がします。



自然の恵みに感謝して 自らつくる楽しさを知る

前田さんは千葉県出身。奥さまも神奈川県の出身とのことで、ふたりとも天竜には縁もゆかりもありません。大学卒行後、前田さんは尾瀬の山小屋で住み込みの仕事を始めます。その後、海外を放浪する中で、砂漠などとはちがい、どこでも草木が生える日本の自然のやさしさに気付きます。その後、バイクで日本を巡り、住みかとなる場所を探す旅に出かけます。

浜松にたどり着いたのは、以前林業の研修で滞在したことがあったことと、街と自然との距離が程よかったから。「和歌山の山にも行ったんですが、20代半ばの青年には素朴すぎました。なんか隠居生活見たいで(笑)」さらに、人生の目標とするおじいさんとの出会いも大きかったと言います。「山のお年寄りって本当に元気で、都会の人とは全然ちがう。僕の知っている方も山の斜面をすいすい上っていく。若い頃は『水窪のカモシカ』と呼ばれていたそうです(笑)畑仕事や山のことなど、暮らしの知恵や技術を持っているので、若い人たちから尊敬されています。自分もそんなおじいさんになりたいという憧れがありました」そんなことで天竜に漂着して、もう14年。きこりの仕事のかたわら、天竜の森の魅力を伝える活動を通じ仲間も増え、今ではすっかり天竜の人になりました。「天竜に根をはって、やっと芽が出てきた感じです」と前田さんが笑います。天竜材がふんだんに使われている前田邸。さらに、庭に植えられたクロモジといった植栽や石は山から持ってきたものだったり、庭の土留め板に天竜の材が使われていたり、山の恵みをそこかしこに見つけることができます。さらに、庭の片隅に奥さまお手製の竹の物干し台も。「僕の趣味は、暮らしだから」と笑う前田さん。

お金を払えばたいていのものを買える時代になりました。もちろん、お金で時間を買うという理屈も分かります。前田さんがきこりであることも理由かもしれませんが、捨てられる丸太を切って薪にしたり山の木や石で庭をつくったり、もらった鹿の肉を燻製にしたり、自然の恵みを資源として捉え、ものをつくることは、大げさですが、人生の大いなる楽しみなのではないかと思わずにはいられません。

前田さんが家を建てようと思ったきっかけは、子どもが生まれ、自分に何かあったときに、家くらい残しておきたかったからだといいます。それは、単なる箱としての家ではなく、そこのでの暮らし、生きるためのスキル、豊かな自然への感謝などを含めて「家」と言っているんだと、お話を聞いて気付きました。家は人生であり、学びの場でもあるのかもしれません。前田さんの新しい暮らしは、まだ始まったばかりです。

(撮影/内山文彦氏・文/キーウエストクリエイティブ)

イエタテ冬号

2020/12/03

イエタテ冬号

『フリーマガジン・イエタテ 冬号』に掲載されました。

WEBイエタテ特集「わたしの住まい・みんなの暮らし」(P.76)に
第3回ふじのくに木使い建築施設表彰にて最優秀賞に選ばれた「tayutau-HUT」が紹介されています。

是非お手に取ってご覧ください。

受賞しました!

2020/10/21

受賞しました!


「第3回ふじのくに木使い建築施設表彰」でtayutau-HUTが最優秀賞に選ばれ、先日、石牧と西久保、オーナーでガラス工芸作家の栗原さんと表彰式に行って参りました。

tayutau-HUT建築にあたり協力をしてくださったすべての職人さん、いつも素晴らしい天竜の材料を納入してくださるフジイチさん、そして何より、このような施設を建てる機会を与えてくださった栗原さんに心から感謝申し上げます。

これからの一層身を引き締めて、より良い真っ当な天竜材の家を作っていくようスタッフ一同邁進してまいります!

縁側のある暮らしをもっと豊かに!種類やメリット・デメリット、設置のポイントを解説

2019/12/28

縁側のある暮らしをもっと豊かに!種類やメリット・デメリット、設置のポイントを解説

縁側のある暮らしって、憧れますよね。
でも、実際に縁側のある家を建てようと思っても、どんな種類があるのか、メリットやデメリット、設置のポイントなど、わからないことだらけで、なかなかイメージが沸かない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、縁側のある暮らしを叶えたい方のために、縁側の種類や役割、メリット・デメリット、設置のポイントなどを詳しく解説していきます。

縁側のある暮らしを叶えるために知っておきたいこと



縁側とは、和室と庭の間に設けられた板張りのスペースで、日本家屋特有の空間です。
昔は、家の外側に設けられた縁側が一般的でしたが、現代では、家の内側にも設けられるようになり、用途も多様化しています。

1: 縁側の種類



縁側は、設置場所や設計によって、いくつかの種類に分けられます。
・内縁(うちえん):家の内側に設けられた縁側で、「くれ縁」とも呼ばれます。
・外縁(そとえん):家の外側に設けられた縁側で、「濡縁」とも呼ばれます。

2: 縁側の役割



縁側は、部屋と部屋をつなぐ廊下としての役割や、外部との緩衝空間としての役割を果たすだけでなく、室内の温度をコントロールする効果もあります。
現代では、リビングやダイニングと庭を繋ぐ空間として、家族のコミュニケーションスペースや、くつろぎの空間として活用されることも多くなっています。

3: 縁側の寸法



縁側の寸法は、用途やスペースによって異なりますが、一般的な寸法は、幅が1.5m〜2.0m、奥行きが1.0m〜1.5mです。

4: 縁側の素材



縁側の素材には、木やアルミ、タイルなどがあります。
木は、温かみがあり、自然な素材で、和風建築に最適です。
アルミは、耐久性に優れ、メンテナンスがしやすい素材です。
タイルは、デザイン性が高く、モダンな住宅に最適です。



縁側のある家づくりのメリットとデメリット



縁側のある暮らしには、多くのメリットがあります。

1: メリット



・自然を感じながら過ごせる
・家族や友人が集まりやすい
・室内の温度調節に役立つ
・プライバシーを確保できる
・開放的な空間を楽しめる

2: デメリット



・スペースが必要になる
・メンテナンスが必要になる
・日当たりが悪くなる場合がある
・防犯対策が必要になる
縁側を設置する際は、メリットとデメリットを比較検討し、自分にとって最適な方法を選びましょう。



まとめ



縁側のある暮らしは、自然を感じながら、家族や友人が集まって、ゆったりと過ごすことができる、魅力的な暮らしです。
この記事では、縁側の種類や役割、メリット・デメリット、設置のポイントなどを解説しました。
縁側のある暮らしを検討している方は、ぜひ今回の内容を参考に、理想の住まいを設計してください。

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